松下幸之助ファン

 私は博多へ出かけると、必ず中州の「エクセル東急」に泊まります。博多のどこへ行くにもアクセスがいいので、私のお気に入りの定宿なんですが、もうずいぶん前のある時、タクシーでホテルに到着して部屋に入ったところ、ロンドンで買ったお気に入りのバーバリーのセカンド・バッグ(高かった!)をタクシーに置き忘れたことにはたと気が付きました。フロントに電話して事情を説明したら、30分もしないのに、部屋まで係の方が届けてくださいました。わざわざ連絡をとってタクシー会社まで取りに行ってくださったのでしょう。大感激しました。このことがあって以来、ホテル会員となって、私は博多では必ず「エクセル東急」に泊まる、と決めているんです。

 最近も、博多でこんなことがありました。天神の岩田屋に入っている「ブルックス・ブラザーズ」(Brooks Brothers)は、もう長年通っているお気に入りの洋服屋さんですが、気に入ったセーターがあって数枚試着して購入しました。博多駅まで戻ってきて気づいたことに、愛用のバーバリーのハンカチがどこにもないんです。ご存じの方も多いと思いますが、三陽商会バーバリーとの業務提携を打ち切ってから(経営がよくないと聞きました)、もうバーバリーのものはなかなか手に入らないんです。それにこのハンカチ、色とデザインが素敵でずっと愛用してお気に入りだったんです。「あ、そうだ、試着室に忘れたんだ!」と思い出し、お店に電話をかけました。担当の方が出られ、丁寧にちゃんと取ってありました。するとすぐ翌日に「先日はご来店のうえお買い物をしていただきまして誠にありがとうございました。今回は私の確認が不十分だった為、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。大切なお品とうかがいましたので、包装に注意を払っておりますが、至らない点などございましたらお許しくださいませ。また天神に出られる時にはぜひお立ち寄りになられてください。」と言葉を添えて届けてくださいました。謝らなければならないのは私の方です。感激でした。博多に出ると必ずお邪魔するお店です。こうしたさりげない店員さんの心のこもった対応で、心を動かされ末永いお付き合いが始まります。

dsc04763

%e6%9d%be%e4%b8%8b%e5%b9%b8%e4%b9%8b%e5%8a%a9 私の自宅の家電製品は、すべてパナソニック製品です。お風呂もパナソニックの特注バスです。まだ若い頃に、創業者・松下幸之助(まつしたこうのすけ)さんの生き方に惚れ込んだことがきっかけでした。借金返済で苦しむさだまさしさんが、自費で始めた志イベント「夏・長崎から」(20年続きました)に、ポーンと寄付をして救いの手を差し伸べてくれたのもパナソニックでしたね。病気平癒の感謝の心から、東京・浅草浅草寺雷門大提灯を寄贈したのも松下さんでした。今日は私が忘れることのできない松下幸之助さんのエピソードを、2つばかりご紹介します。

dsc01693

 東京で新幹線に乗ったところ、自分の席から通路をはさんで斜め前の席に松下幸之助さんが座っていることに気がついた会社社長さんがいました。なんとか声をかけたい、話をしたいと思いますが、面識も全くないのですから、声をかけるわけにもいきません。思案に暮れていると、隣に座っていた奥さんが名案を出します。「あんた、そんなに松下さんと話したいの?ひと声だけでいいの?それならミカンを買って松下さんに手渡したらどう?」それはいいということで、赤い網の袋に入ったミカンを買ってきて、松下さんに手渡しました。松下さんは「ありがとう」と言って、それを受け取ると皮をむいてミカンを食べました。その後のことです。自分は新大阪で降りる。松下さんは一つ手前の京都駅で降りる。そのとき、松下さんは京都駅が近づくと、わざわざ自分の席に来てお礼を言いました。それだけはなく、ホームに降りた松下さんが、自分の座っているところまで来て一礼してくれました。さらにそれだけではありません。新幹線が出発するまでそこに立ち、見送ってくれたのです。自分は新幹線の窓に顔を押しつけ、松下さんの姿を見続けます。すぐに松下さんの姿は見えなくなりましたが、自分は窓から顔を離すことができないくらいに感激しました。感激のあまり涙が出てきます。涙が止まらなかったそうです。この社長さん、家に帰ると、出入りの電気屋さんを呼んで、自宅も自分の会社もすべての電気製品(蛍光灯の一本に至るまで)を松下さんのところの製品に入れ替えたそうです。これからも電気製品は松下さんのところのもの以外は買わない、と述べました。

 会田雄次さんという高名な京都大学の先生がいました。先生はなかなか褒めるということはされない方で、正論をピシっと言われるので、多くの人たちから尊敬され、注目をされている先生でした。きわめて皮肉っぽい表現で評論をされる先生でもありました。松下さんとは旧知の仲でしたが、いっさい外交辞令的な話し方はせずに、自分の主張をまっすぐに貫く方でした。そういう会田先生を松下さんは大変気に入り、時たま会っては意見を求め、お話を聞いていました。ある時、松下さんが東京に向かうべく京都駅の新幹線ホームに立っていると、会田先生がやってこられました。二人とも「やあ、やあ」ということで挨拶を交わし、「先生はどちらまで?」「私は、講演を頼まれていますので、名古屋です」などと会話しているうちに、乗るはずの新幹線がやってきました。同じ新幹線ですが、車両が違う。「それでは、失礼」ということで別れ、会田先生は別の車両に乗り込まれました。名古屋駅に着いて、会田先生がホームに降り立ち、出口の階段に向かって歩き始めようとすると、ホームに松下さんが立っています。「うん?松下さんも名古屋でしたか?」と声をかけると、「いや、私は東京です。先生が名古屋で降りられるということでしたので、ご挨拶をと思い、ホームに出ておりました」 この松下さんの誠実さに、さすがの会田先生も「まいった!」と思い、改めて松下幸之助という人物の、人間としての真面目さ、誠実さに恐れ入った、と著書の中に書いておられました。

 どうです?私が松下幸之助という人物に惚れ込む訳が、少しは伝わったでしょうか?昭和30年頃、ある銀行の支店長が松下さんのところを訪ね、話が終わって部屋を辞そうとすると、松下さんはその支店長を見送るべく一緒に部屋を出ます。驚いた支店長は恐縮して松下さんをとどめましたが、松下さんはかまわず並んで玄関まで歩いていきます。そこで再び挨拶をして車に乗り込んだ支店長は感激して「自分がお願い事で来たのに、あの松下さんが…」と思いつつ、車が会社の門のところにさしかかったとき、ふと後ろを振り返ると、なお玄関で立ち続けて自分を見送ってくれている松下さんを見つけます。「私は感激のあまり、体が震えました」と支店長は話します。礼は人の道であるとともに、商い、経営もまた礼の道に即していなければならないという、松下さんの生き方に強い衝撃的感動を受けるのです。

 私は、松下さんの評伝が出ると、すぐに買い求めています。最近読んで面白かったのは、江口克彦『松下幸之助はなぜ成功したのか 人を活かす、経営を伸ばす』(東洋経済新報社、2017年)、本田 健『運命をひらく 生き方上手松下幸之助の教え』(PHP研究所、2016年)、佐久間昇二『イノベーションは「3+7の物語」で成功する 松下幸之助から学んだ経営のコツ』(PHP研究所、2016年)、中島孝志『松下幸之助その凄い!経営』(ゴマブックス、2015年)、ジェームズ・スキナー『心をひらく あなたの人生を変える松下幸之助』(PHP研究所、2015年)などです。いつも新しい発見があります。❤❤❤

広告
カテゴリー: 日々の日記 パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中