「セブンカフェ」の秘密

 セブン・イレブン」のコーヒーが美味しいことは、みなさんご存じですね。酸味、苦み、甘み、香り、カフェインの刺激と、どれをとってもいい感じです。⇒私の感想はコチラです  コーヒー市場を塗り替えるほどのメガヒットになった「セブンカフェ」の美味しさの秘密に、今日は徹底的に迫ってみたいと思います。引退された鈴木敏文会長「おいしいものしか店に置くな!」と、徹底しておられた精神がよく現れているヒット作品です。

dsc09853  セブンカフェ」のプロジェクトが立ち上がったのは2010年11月のことでした。本当に美味しいコーヒーをとことん追求すること」が、至上命題でした。当時の業界では、深く焙煎した豆を圧力を加えて濃く抽出するエスプレッソ方式が主流でしたが、この方法は味が染み出しにdsc09854くい硬水がメジャーなヨーロッパで生まれたものです。一方、日本の水は軟らかいのです。味や風味が染み出しやすく、だしの文化のある我々の舌には、一杯ずつその場で挽いた豆をドリップして、挽きたて淹れたてを飲んでもらうドリップ式のほうが美味しさをより感じられるのではないか、という結論に至りました。ところが一杯ずつ淹れられるコンパクトなマシンなどはこの世に存在しません。その技術を持った富士電機に協力を仰ぎ、マシンの開発に着手することになりました。豆を挽くグラインダー、エアを送り込んで挽いた豆を湯の中で撹拌するシステム、コーヒーを挽いた後の出がらしを入れるバケツの形状、不具合が起こったときの警報の音量、操作のし易さ、などを一つ一つ潰していって、現在セブンイレブンの店頭に置かれているおなじみのあのマシンが誕生するまでに、約1年かかっています。

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 コーヒー豆は香りとコクを同時に出すために、各国の最高のグレードのものを使用。寒暖差が激しい高地で栽培された最高品質の100%アラビカ種ダブル焙煎を採用して、それらをブレンドしました。生豆の精製方法も水で不純物をきれいに洗い流すウオッシュド方式を採用しています。水が貴重品である産地では、果肉を乾燥させることで不純物を取り除くナチュラル方式が主流ですが、焙煎時に残った果肉部分が焦げて雑味につながってしまうのを避けるために、わざわざ手間暇をかけて贅沢な方法を選んでいるのだそうです。焙煎方法は2種類あって、芳醇な香りを生み出す豆は浅めに、コクや深みのある味わいを出す豆は深めに煎り、ブレンドしています。ホットとアイスではブレンド比率を変えるという細かさです。ここに至るまでには、何度も何度もモニター調査を行い、徹底検証して今の味に行きつきました。豆だけで原価が46.8円もすると聞いたことがあります。鮮度を保つために10℃以下の温度で冷蔵輸送しているとも聞きました。これを100円で飲めるのですから、すごいことです。

 コーヒーの味が一級品であることはもちろん大切ですが、「セブンカフェ」がこだわったのは、ユーザーが手に触れるものすべて、コーヒーを飲むあらゆるシーンを想定して、売れっ子アート・ディレクターの佐藤可士和さんがトータルプロデュースしておられる点です。セブンカフェ」という名前を生んだのも佐藤さんです。「場所を提供するわけではないが、カフェで過ごすような上質な時間を提供したいという想い」で名付けられたそうです。マシンのインターフェイスも店内に置いたときの存在感がスタイリッシュになるように本体の色はシルバーをdsc09861採用して、操作のしやすさとデザイン性を両立させるために、ボタンは「ホット」「アイス」「レギュラー」「ラージ」の4つだけに絞り超シンプルです。形状や押し具合まで吟味したといいます。この他ロゴや、カップやふた、マドラー、ストロー、に至るまで、すべてのアメニティに関するプロデュースを手掛けておられます。確かに白・黒のモノトーンですっきりと統一されたアメニティは、色やデザイン性だけでなく、触りdsc09859心地や質感にもこだわりがあるようです。マシンの横には、サイズごとにふたや砂糖、マドラーなどがまとめて置いてあるのですが、シンプルな色合いで統一されているためか雑多感は感じません。「ふたをすると飲み口から中が見えないために熱いコーヒーを飲むのが怖い」といったお客さんの声に応えて飲み口をギリギリまで広げたり、老若男女が飲みやすいように、形状を徹底研究して、口をつけるラインの高さや角度にも数々の工夫がなされていると聞きました。ホットの紙コップ(間伐材使用)の表面には、特殊なエンボス加工が施されていて、持ったときに熱さを感じにくくなっています。手に収まりやすく手触りもいいんです。細かいでしょ?カップには、”SEVEN CAFE Delicious beverages and sweets are made fresh, with only the finest ingredients, to add satisfying moments to your day”と刷り込んであります。

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 ボタンを押してコーヒーが出来上がるまでの45秒間、マシンが働く作動音を聞いていると、実にたくさんの仕事をこなしていることが分かります。まず、マシン上部に設置されたキャニスターから1杯分のコーヒー豆4種類が落ちてきて、内蔵のグラインダーによって挽かれます。こうして挽かれた粉は次にシリンダーの中へと入っていきます。いよいよお湯が注入されると下方からエアが送られ、アツアツのお湯の中で挽きたての粉が撹拌される仕組みになっています。その後、ペーパードリップが始まって、ようやく抽出口からカップへ注がれるというわけです。透明カバーを右から開けてカップをセットするのですが、衛生面も考慮して動作中はロックされています。ドリップ中は、マシンの窓にモノクロのアニメーションが表示されています。できあがるまでの45秒間を長く感じさせない作業音の演出もにくいところです。シンプルな構造のマシンですが、随所に仕掛けが散りばめられている感じですね。

 このようにコーヒー豆の選定、輸入を担当する原料メーカー(三井物産/丸紅)、マシン開発の製造メーカー(富士電機)、豆の焙煎(AGF)、カップやふたを作る資材メーカー(東罐興業)、氷を納品するベンダー(小久保製氷)、アートディレクション担当の佐藤可士和さん、らが一つのチームとなり、妥協のない商品を作り上げたのです。ものづくりへのあくなき探求心から、理想とするコーヒーを作るために、必要な技術を持った企業を説得して歩き、業界の垣根を超えて知恵を出し合う最強のチームを組織した結果が、この「セブンカフェ」の美味しさの秘密なんです。鈴木会長は「質のいいものをどうリーズナブルな価格で売るかが大事。いい例がセブンイレブンのコーヒー。安いから売れるのではなく、他社の200円や300円のコーヒーよりもおいしいから売れる(『産経新聞』2015年8月18日)とおっしゃっておられました。

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