夢しだれ

 私の大好きなさだまさしさんが、『二百三高地』という日露戦争をテーマにした東映映画の主題歌を頼まれて、「防人の詩」(さきもりのうた)という名曲を書き下しました。私の非常に好きな曲でもあるんですが、当時、多くの評論家たちからは「戦争を賛美している」「好戦的」「右翼」などと書かれて、ひどいバッシングを受け、ずいぶんいろいろな雑誌で叩かれたものです。この歌のどこが「戦争を賛美」なんでしょうかね??さださん自身は「いまの緊迫した世界情勢の中で、日本という国を愛するたった一人の”人間”として『自分の中の万葉集』『自分の中の防人の歌』というつもりでつくりました」と述べています。「いさなとり 海や死にする 山や死にする 死ぬれこそ 海は潮干て 山は枯れすれ」(万葉集)という歌に触発されて作ったとさださんは言います。そのようなバッシングの中、それでも評論家・俳人の山本健吉さんは、「君、あれは挽歌だよ。日本の詩歌の基本は挽歌だ」と讃え、励まして下さって、さださんの大きな心の支えとなりました。山本健吉先生はさださんを息子のように可愛がって下さったといいます。その山本先生に捧げた曲が、「夢しだれ」です。

%e5%a4%a2%e3%81%97%e3%81%a0%e3%82%8c      夢しだれ

吉野の里の桜には まだ早過ぎると君が
僕の指をとり誘う先は春に霞む斑鳩の
古(いにしえ)の夢殿にひとめぐりめぐり会えば
ふり仰ぐ満開の桜 誰が名付けたのか夢しだれ
思えば長い道程を 歩き続けているようで
愛と呼ぶには遠すぎて 恋というには近過ぎて
迷え この道は薮知らず
来し方知らず 行方知らず
君のかわりに 僕の頬を
花びらが打つ 風 風

 法隆寺東院境内の夢殿のしだれ桜を、「夢枝垂」(ゆめしだれ)と呼んだのは、この山本健吉先生でした。観桜会で俳句仲間同士が、この樹の下で酒を酌み交わすうちに、ふと角川春樹さんが、「この花に名はありますか」と問いかけ、ぼつりとそう応えられたのだそうです。山本先生らしいロマンです。その年に、花を追うように逝去された先生に、「いつか必ず」と、約束した歌を、健吉先生と奥様とお嬢様に捧げた歌が、この「夢しだれ」でした。レーズンの『あの頃について』というアルバムに収められています。さださんらしい、古典を下敷きにした難解な詞です。そうそう、上の映像の2分50秒過ぎの宅間さんの華麗なマリンバ演奏が素敵です。❤❤❤

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