加藤一二三先生

%e5%8a%a0%e8%97%a4%e4%b8%80%e4%ba%8c%e4%b8%89%ef%bc%92 最近、年末から年始にかけて新聞・雑誌やテレビで将棋棋士・加藤一二三(かとうひふみ)先生の名前が何度も登場し賑わっています。1954年に史上最年少棋士・史上初の中学生棋士となり、順位戦で4年連続昇級して18歳でA級八段となるという偉業を成し遂げ、「神武以来の天才」と呼ばれました。タイトル歴は名人1期、十段3期(現在の竜王)、王位1期、棋王2期、王将1期の、通算計8期獲得したすごい先生です。 通算勝利数は歴代3位の1323勝(大山・羽生に続く)です。昭和の大棋士と言われた故・大山康晴15世名人中原 誠16世名人との死闘は、多くのファンを魅了しました。将棋好きの私は、若い頃から加藤先生が大好きで、先生の得意の「棒銀」や「矢倉」の本を読みふけったものです。

 加藤先生は福岡県出身、1954年、当時の最年少記録となる14歳と7か月でプロ入りして、史上初めて中学生で四段に昇段、プロ棋士となりました。順位戦最上位のA級には最年少の18歳で昇級して、「神武以来の天才」と呼ばれたのです。この記録は昨年10月に、藤井聡太四段が14歳と2か月でプロ棋士になったことで破られたという報道が相次ぎました。

 そしてその藤井聡太四段の初棋戦の相手がこの加藤先生という皮肉な運命の巡り合わせでした。62歳差対決で藤井聡太四段に敗れて、「素晴らしい才能の持ち主」と賞賛しました。

 ところが、1月19日、加藤九段が在籍する第75期「名人戦」C級2組順位戦(1勝7敗)の対局では、競争相手の竹内雄悟四段が勝利し、同組(51人)の下位10人に入ることが確定し、加藤九段の同組からの陥落が確定。定年規定により、63年間の棋士生活に終止符を打つことになりました。

 翌日の1月20日、77歳と11日の加藤先生が、飯島栄治七段に公式戦で98手の意地の勝利をして、故・丸田祐三九段の76歳11か月を抜き、現役最高齢記録を更新しました。引退決定後初の対局での勝利でした。歴代3位の通算勝利数もこれで1324勝(歴代3位)1173敗(歴代1位)となりました。勝ち数もすごいですが、負けた数もすごいですね。「対局が続いている限りは引退ではない。最年長勝利は素直に嬉しい。残る対局を、全力で頑張りたい」と加藤先生。

 加藤先生は名人への挑戦権を争う順位戦の最上位クラス「A級」に通算36期在籍しました。還暦後もA級棋士だったが、2002年に「B級」へ陥落して以降、近年は成績が振るわず、2014年からは最下位の「C級2組」となっていました。今季のC級2組は51人の棋士が10局を戦って成績を競います。うち下位10人に「降級点」がつけられ、降級点が3回つくと降級となる規定です。加藤九段はすでに降級点が2回ついていました。直近では12日の対局に敗れて1勝7敗となったが、この日は競争相手も敗れたため「引退決定」は免れていました。C級2組から陥落すると、通常は順位戦に参加しない「フリークラス」となります。その場合、10年以内に規定の成績を上げて順位戦に昇級しなければ引退となるのです。またフリークラスには定年規定があって、C級2組から降級した場合は60歳、自らフリークラスになると宣言した場合は65歳となっています。加藤先生は現在77歳。降級が確定した時点で現役引退が決まります。ただ、引退が決まった棋士でも、他の棋戦(の予選・本選)で勝ち残れば現役扱いとなります。「棋聖戦」予選、棋王戦、竜王戦、王将戦、NHK杯戦など、加藤先生にはまだ対局が残っており、順位戦も3月まで対局がある。予定される全ての対局が終わった時点で引退となります。「最高齢勝利記録は素直にうれしい。これからも対局は続いていく。正式に引退した時に、あらためてお話をしたい」と、最後の一手まで勝負師であり続ける姿勢を見せました。

 77歳の今も食欲旺盛。対局中の食事は、天ぷら定食とうな重を同時に注文することが多いと聞きます(驚!)。「無人島に一つだけ持っていくとすれば、何を選びますか?」という将棋年鑑のアンケートに対して、加藤先生は「羽生さん。羽生善治三冠(王位・王座・棋聖)を連れていく」と回答したのには思わず笑ってしまいました。無人島で羽生さんと将棋三昧の日々を送るつもりなんでしょうね。そんな羽生さんへの思いは、羽生善治論―「天才」とは何か』(角川書店)にしっかりと読み取ることができます。加藤先生は文才もあり、お書きになるものはみんな面白いんです。私は著作をみんな読んでいます。バラエティ番組などでもひふみん」の愛称で親しまれた加藤先生ですが、奇人としても知られています。さまざまな珍エピソードが語られていますね。

%e5%8a%a0%e8%97%a4%e4%b8%80%e4%ba%8c%e4%b8%89(エピソード1) 加藤先生といえばネクタイが超長い。対局中に立ち上がるとベルトより20センチも長いことも。若い頃にたまたまネクタイを長く結んで、対局に臨んだところ、澄んだ心で集中でき快勝したことから、対局は長いネクタイでということになったそうです。ご本人は「戦いという修羅の場で、くつろぎ・余裕を相手に見せたいから」「ルックス上、よく見えるから」とおっしゃっておられたとか。

 (エピソード2)対局中の口癖は「あと何分?」です。秒読みに入っても「あと何分?」「あと何分?」「1分です」「あと何分?」「1分です」「あと何分?」「1分です」「あと何分?」ついにキレた記録係。「1分だよ!」 、記録係「20秒、1、2、3」「あと何分?」「もうありません」大爆笑でした。もう一つ「から咳」も有名でした。これが出たら加藤先生、勝利を確信した瞬間と米長先生が解説しておられましたね。

(エピソード3) 加藤先生が対局室の空調に強いこだわりを持つことは有名です。ソフト不正問題で話題の渦中にあった三浦弘行さん(当時四段)は、極度の寒がりです。加藤先生との間でクーラーのスイッチの‘争奪戦’を繰り広げたことがありました。切っては入れ、切っては入れ。これも滑稽な光景。

(エピソード4) 東京・三鷹の集合住宅に住んでいる加藤先生が、自宅の玄関前や庭で野良猫に餌を与え始め、やがて周辺に現れた猫は多い頃で18匹まで増えました。その結果、同じ敷地内の住民たちは、猫の糞尿の始末や悪臭に悩まされたり、車に引っかき傷をつけられたことを問題視して、猫への餌やりを中止するように何度も求めましたが、加藤先生は断固として拒み続けました。そしてついに全10戸の集合住宅のうち9戸の住民たちが加藤に対して、猫への餌やりの中止と慰謝料請求で東京地裁に提訴したのです。加藤先生は裁判で、「猫は迷惑を及ぼす恐れのある動物ではない。動物愛護の精神で猫に餌を与えていて、猫の数を減らすために不妊去勢手術をした」と主張しました。結局は、原告の住民たちの主張が全面的に認められ敗訴した加藤先生は、「猫は私の友達みたいなもの。静かで危害も加えません。命あるものを大切にする私の信念は変わらず、今後も餌やりは敷地外で続けます」と語りました。民事裁判とはいえ、名人にもなった棋士が被告席に座る事態は前代未聞でした。

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