「シラミ騒動」

dsc07761 さだまさしさんの最新作『御乱心~オールタイム・ワースト』が出ました。本作は過去に発表された550曲を超える楽曲の中から、さださん自らが選曲した「迷曲」たちを収録したベストアルバムです。「関白宣言」のパロディとして書き下ろされた「関白失脚」や、シラミを見つけた研究者とその周囲の人々の騒動を「ドレミファソラシ」の7文字のみで描く「シラミ騒動」など、ファンの間で伝説化しているナンバー全11曲が収められています。収録曲のうち「魔法のピンク」「必殺!人生送りバント」など6曲は新録音バージョン、誰も知らない二番目のうた」は初のCD化となっています。私は早速、田和山の「スタジオワンダー」へ行って購入してきました。 オリコン・デイリーランキング最高3位、ウィークリーランキングでも初登場8位を獲得し大反響となっているようです。

 さださんは、2013年に、WEB投票などで選ばれた楽曲を収録したベストアルバム『天晴~オールタイム・ベスト~』を発表しました。コンサートのステージで「ベストがあるんだから、次はワーストだよね(笑)」とステージ上のトークで冗談交じりに客席の笑いを誘い、誰もが冗談だと思っていた企画が、さださん本人の熱い想いにより実現をしました。前作はファン投票による選曲でしたが、今回は佐田さん自身が選曲。さだまさしなのにさだまさしらしくない迷曲から、ファンの間で伝説化されてきた楽曲が厳選されています。アルバムタイトルは数ある候補から『御乱心』に決定です。これはさださんが現在行っているツアー「さだまさしコンサートツアー2016『月の歌』」のステージ・トークで、いくつかの候補を挙げたもののうち、客席から一番拍手が大きかった「御乱心」が選ばれたという事情です。

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 アルバムジャケットのアートワークは前作『天晴』のときと同様に、イラストレーターの中村佑介さんが手がけています。今回のイラストの内容は、基本的に前作の自己パロディとなっています。今回のアルバム『御乱心~オールタイム・ワースト~』のイメージ通りに、色もモチーフも賑やかな様子で、“遊び”をテーマに、収録曲全てのモチーフが入っています。ちなみに、掛け軸の前に飾られている花は「スイセンノウ」で、花言葉は「ユーモア」です。前作のベスト盤を飾っていた鶴と亀は、今回は犬と猫になりました。素敵な美しいジャケットです。収録曲のうち7曲が、新録音または初CD化という豪華盤です。

さだまさし「御乱心~オールタイム・ワースト~」収録曲

01. ねこ背のたぬき
02. 魔法のピンク
03. シラミ騒動組曲 第一楽章「シラミ騒動」
04. シラミ騒動組曲 第二楽章「シラミ逃亡」
05. シラミ騒動組曲 第三楽章「シラミー・ナイト・フィーバー」
06. ペンギン皆兄弟
07. 建具屋カトーの決心 -儂がジジイになった頃-
08. 時代はずれ
09. 誰も知らない二番目のうた
10. 必殺!人生送りバント
11. 関白失脚2016 ~父さんと閑古鳥 篇~

 この中から、今日は迷曲「シラミ騒動」を取り上げます。「ドレミファソラシドの音階だけで歌詞を作れば詞と曲が同時に作れるじゃん」というので、本当に作っちゃったという曲です。もうずいぶん前の曲ですが、初めて聞いたときには腹をかかえて笑ったものです。シラミを見つけた研究者と周りの人々の騒動を歌った不思議な歌でした。ドレミファの音階と歌詞も音名だけで構成されている、伝説のとんでもない作品です。ご本人はこの曲を作った時には、自分が天才だと思ったそうですが…。松江北高に転勤してきたときに、音楽の勝部先生が音楽の授業でこの曲を使っておられたのが印象的でした。誕生秘話については、さださん自身がコンサートで語っておられます。

音楽というのは音を楽しむと書きます。楽しむから音楽なんであります。楽しめなきゃ無意味になってしまう。逆にいうと、どんな人でも曲や詞はできるんです。楽しい音を見つければいいんですから。そりゃあね、天才が聞けば雨だれの音も音楽に聞こえるってんですけど、そうまではいいませんが、なんでも音楽になる。ですから、何かのとっかかりで自分の音楽を見つけだす、これが大事なことなんですね。実はこの間、LPの曲作りの時に煮詰まりましてねえ、まあ、テーマ決めはね、相変わらず昔も今もおんなじように相当時間がかかるんですけど、こういうテーマで曲を作ろうと決めたら、昔は早かったんです。その世界に十五分もあればサーッと入っていけた。最近は三時間かかるんです(笑)。

で、この間の曲作りは煮詰まりましてねえ、もう、全然出来ないんです。夜の八時から曲作りを始めて、その世界にようやく入り込めたのが、午前零時、それから三時間頑張って、もう明け方の三時ですよ、でもまだ全然進展していない。ああ、こりゃあだめだ、諦めようかな、うん、気分転換をしよう。何をしようか、そうだッ、曲を作ろう(笑)。で、遊びの曲を考えたんです。一種のジクゾーパズルのようなものです。信田さ~ん、ドの音をください(ピアノ、ドの音を弾く)。

ドレミファソラシド、誰でも知ってるドレミファソラシド、この音の読み方はイタリア読みなんですね。ドイツ読みはツェー、デー、エー、エフ、ゲー、アー、ハー、ツェー、日本読みになりますとハニホヘトイロハとなりますね。この、ドレミファソラシ、片仮名に分解すると七つ、この階名を読むだけで意味を持たせることはできないだろうか(笑)、この着眼点が素晴らしいですねえ。われながらこの着想に感動したんです。そうだッ、作ろう!

ドレミファソラシといえば誰でも思いつく単語があります。シラミ(爆笑)。だけと、そうかといってシラミ シラミといってるだけでは歌にならない。文章めいた一行がいります。シラミ シラミ ソラ シラミ(笑)、これ、この通り音で弾けるんですねえ。この一行をとっかかりとして、わたしはシラミの歌を作ろうと思いました(笑)。すでに第一行はできましたね。

今度は第二行です。シラミって見たことあります? 見たことないんです。今や、ほとんどの人がないんです。そりゃあまあ、親父やおふくろののようにDDT振りかけられた世代の人は(爆笑)、ウフフッ、知ってるでしょうがねえ。でも、僕たちの世代は知らないですよね。見たことあるようで見たことない。これを歌ってやればいいんです。シラミ ミラレド ミレ シラミ(笑、拍手)。

こんなものメロディーになるのかとお思いでしょう。信田さん、ちょっと弾いてください(ピアノ演奏、拍手)。美しいサウンドが出来上がりましたねえ。古式ゆかしい和音階を連想させます。格調が出てまいりましたねえ、盛り上がってまいりましたッ(笑)。

第三行、シラミを捕まえた男がいるんです。皆に見せたいから、ソラソラと差し出すんですねえ(笑)。で、差し出されたほうは、ドーラと覗き込むんですね(爆笑)。そしたら、脇にいたやつもドレドレと前に出てくる。捕まえた人がミーレと差し出す(爆笑)。

そこまでを復習したいと思います。それでは信田さんお願いします。(バンドも加わって演奏、中国風のサウンドになる。さだ、ナレーション風に)中国四千年の歴史を秘めたスープの中に~(爆笑、拍手)。なんか、明清楽の旋律ですね。ソラソラ ドーラ、ドレドレ ミーレ。ここでわたしの頭も一旦途絶えた。話が先へいかないんです。ハハア、これはわたしの視点が悪いんだな、見方を変えればいいじゃないか、そうだッ、観点を変えてみよう!

わたしが取った作戦、これはもう画期的な作戦でしたよ。音楽史上、かつてなかった視点です。つまり、シラミの気持ちになる(爆笑)。ハハハハッ、シラミの気持ちになってみてください。最近はあんまりお友達じゃないのに、ああッ、見つかってしまう! この見つかってしまうという恐怖感を次に歌ってやればいいんです。ドレミファソラシ、七つの片仮名の中から、シラミ ミラレソー、ああ、シラミの恐怖感が出てますね(笑)。同時に、正体がばれてしまう恐怖感、シラミ シラレソー(笑)。ミラレソー、シラレソー、これが鮮やかに対句をなしています(笑)。やや、文学的になってまいりました。まあ、ここまでを音で聞いてみましょう(奏)。

途中で合いの手を入れるのね、景気付けに、ソッソソーラ(笑)。で、主題をもう一回出す、シラミ シラミ ソラ シラミ、はいッ、どうぞ。(演奏)うん? どっかで聞いたメロディーだな(笑)、なんか、サラリンのコマーシャルに似てません? ♪サラリン サラリン サラサラリン(爆笑、拍手)、便秘にすっきり、サラサラリン(爆笑)。ハハハッ、松山容子さん、琴姫七変化でした(笑)。アハハハッ、いま笑った人は相当年配の方ですよ。まあ、何かに似ているけど、この手の歌だから許していただくとして、シラミ シラミ シラシラミ、ここまででわたしは完全に行き詰まったんです。先へ進まない。こりゃ、だめだッ、もう寝ようと思った。なぜなら時計は五時を廻っていた、朝ですよ。 寝ようと思って布団に入りました。ああ、いい気持ちだ、だんだん眠気が来る、一番気持ちの良いとき。そこへシラミが襲ってくるんです(笑)。妄想ですけどね、モソモソ、モゾモゾ(笑)。腹立ちましたよ。ガバッと起きまして、明かりをつけて、どうしよう、また考えはじめた。な~んかオチをつけないとだめだ。

そりゃあ、この手の歌はとくにオチが大事なんです。『雨やどり』だってそうですよ。何だか分からないことをウダウダウダウダいってる。な~にがませませだ(笑)、なにがいいたいんだ、イライラしながら聞いてる。で、最後にきて「あなたの腕に雨やどり~」っていうオチがあってね、そこでストンと落ちて、聞いてる人が初めて、な~るほどォ~(笑)なんて納得してくれるのね。オチは大切なんです。悩みました。あとはインスピレーションに頼るしかない。だけどォ、不思議ですよ、追い詰められると人間って出てくるのねえ。

な~んだ、簡単じゃないかッ、シラミのこどて大騒ぎしている歌じゃない、いいオチがあった。シラミ シラミ シラシラミ ソードー(爆笑、拍手続く)。『シラミ騒動』という大変画期的な歌が完成いたしました。これでね、音楽的にもドで完結したわけです。よかったなってほっとして寝たんです。こんなお遊びみたいなもんでも、ちゃんと音楽に聞こえるんです。だから、音楽ってもっともっと身近なところにあるんですね。

(『シラミ騒動』の演奏後...)
いかがでしたでしょうか、それなりにきこえないことはありませんね。ですからどんなものでも音楽になる、これは信頼していいことじゃないかと思います。この曲を作ってね、わたしは自分で天才じゃないかと思ったんですよ。で、あんまり盛り上がったものですから、調子に乗りまして、この主人公のシラミに名前まで付けました、ミソラ シラミです(爆笑、拍手)。

 90年以降この曲は披露されていなかったんですが、2016年8月1日東京国際フォーラムで行われたライブで、この「シラミ騒動」に加えて、2番(第二楽章、さらには3番(第三楽章)まで作って組曲として披露しました。上のトレーラー映像をご覧下さい。いったいこの人は、どこまで行くつもりなんでしょうね(笑)。❤❤❤

(おまけ)   7曲目の「建具屋カトーの決心」も大笑い・大泣きした曲です。フジテレビの「夜のヒットスタジオデラックス」という番組で、マンスリー・ゲストとしてさださんが、1か月連続出演していたときのことです。「前の週の生放送の後から、次の生放送の日までに作った新曲を生放送で披露して、しかもそれをCDシングルとして発売する」というとんでもない企画が持ち上がりました。さださんはそれに応えて、数日間徹夜をしてこの曲を作ったんです。建具屋カトー」というのは、さださんが中学生の頃にバイオリン修行のために上京して千葉県市川市で下宿していた大家さんの息子の知り合いです。家族ぐるみの付き合いとなった「市川の兄貴分」です。さださんの自伝小説『ちゃんぽん食べたかっ!』(NHK出版、2015年)pp.167-172の中で、詳しくその出会いが取り上げられていましたね。

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