『雷鳥9号殺人事件』

雷鳥9号 大阪発金沢行きのL特急「雷鳥9号」の中で金のインチキ商法で悪名高い会社の社長・羽田(石山律雄)が射殺された。羽田の会社が東京にあるため、十津川警部(故・三橋達也)、亀井刑事(故・愛川欽也)らは福井県警と協力して捜査を開始、容疑者として別れ話がもつれていた愛人久保寺環(水原ゆう紀)を連行したが彼女は犯行を強く否定した。たまたま同じ列車に乗り合わせていた西本刑事(森本レオ)は被害者が殺される直前、グリーン車でしきりに話しかけていた美女が気になり、身許を調べたところ東京世田谷に住む三浦由美子(真野あずさ)と判明した。そして彼女が犯人であることを裏付ける目撃者も現れ、亀井刑事は九頭竜湖に居た彼女を連行した。しかし由美子は何を聞かれても完全黙秘を続けて亀井たちをてこずらせる。やがて被害者羽田と、由美子をめぐる意外な関わりが次々に明らかにされていく…。

 これは、テレビ朝日で1987年に放映された西村京太郎トラベルミステリー 「L特急“雷鳥九号”殺人事件 大阪―福井―芦原温泉、グリーン車から消えた女」のあらすじです(最近もスカパーで見ました)。この「雷鳥9号」という特急列車は、原作者の西村京太郎先生が最も好きな特急で、先日私が湯河原でインタビューした際も、愛着を語っておられました(今は特急「サンダーバード」となっていますが、これにはあまり好印象を持っておられません)。⇒インタビューはコチラです  かつて京都に住んでおられた西村先生は、北陸本線で「雷鳥」に乗って、金沢・和倉・能登へよく旅行をしておられます。「日本の列車らしい、いい名前である。それがみんな「サンダーバード」になってしまったが、なぜかこの名前には馴染めないのである」(西村談) その大好きな列車が出てくる『雷鳥9号殺人事件』という作品が、西村先生もっともお気に入りの作品だそうです。

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 この作品に出てくる北陸本線「ループ線」がトリックの肝になっています。高低差の大きな区間で、勾配をゆるめて上がっていくために、ループ状に線路を敷いたのですね。トンネルを掘削する技術がまだ進んでいない頃の工夫です。下りの線路が直線で、上りの線路がDSC06068大きな円を描き、いったん下りの線路から離れて行った上り線路がここで直角に交叉し、反対側で、また円を描いて次の駅で一緒になるのです。北陸本線が北陸本線をまたぐ格好になっていて、鉄道写真家にとっては格好の撮影スポットになっている場所です。下り線をクロスする橋梁を走る上り列車のトイレの窓から、下り線路の横へ拳銃を落とすと、というビックリするようなトリックが使われています。当時、こんなトリックができるはずがない、という読者からの指摘が相次いだそうです。北陸本線の上下線が交差する現場を確認して、「本当にこんなことが可能なのか?」と議論した読者たちが、「実際に見てみようじゃないか」ということになり、実証に押しかけましたが、これはなかなか難しいのではないか、という結論でした。鉄道ファンというのはこれほどまでに熱心なものなんですね。しかし、西村先生は実際に同じことを試して成功しておられます(西村京太郎『十津川警部とたどる時刻表の旅』(角川oneテーマ21,2012年))。可能かどうかは別として、フィクションの世界として楽しもうではありませんか。西村先生が最も愛する作品です。❤❤❤

▲西村京太郎記念館にて

▲西村京太郎記念館にて

 

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