MOMO

IMG_0304 2002年の夏、岡山市で全く新しい路面電車が走り始めました。「MOMO」(日本一短い4.4キロの岡山電気軌道)です。昔話の桃太郎と、岡山の名産の桃から名付けられました。この「MOMO」は、あの水戸岡鋭治(みとおかえいじ)先生がボランティアで(ただで!)デザインした電車なんです。岡山市で路面電車普及キャンペーンの市内電車をテーマにしたシンポジウムが開催されたとき、パネル・ディスカッションのパネラーとして招かれた岡山出身の水戸岡先生は、市内電車と街作りに関して普段から思っておられたことを発言されます。最後に司会者の方からこう聞かれます。「国から補助金が出ることになったら、岡電に新しい電車を走らせる計画があります。もし、そのようになったら、水戸岡さん、デザインをしてくださいますか?」 あまり深く考えずにこう答えます。「ええ、そのときはボランティアで仕事をします。」と。後日、本当に国からお金が出ることになり、水戸岡先生にデザインの依頼が来ます。水戸岡先生は出身地の岡山のためにと、本当にタダでデザインをしたのです。

IMG_0303 「MOMO」の乗降口は客室の床面を線路すれすれの所まで下げて、車両とホームとの段差をほとんどなくした超低床式の市内電車になっています。停留所と電車の客室の床面・乗降口に段差のないバリア・フリーとなっているのです。ドイツの車両メーカーが開発したものです。現在は、岡山市だけでなく、熊本市・鹿児島市・広島市・高知市・松山市・高岡市でも超低床式の市内電車が活躍しています。そしてこの「MOMO」はどこの町にもない、岡山ならではの「乗りたくなる」楽しい電車となっています。そして路面電車を進化させるだけではなく、街を変え、そこに住む人を楽しくするというのが、この「MOMO」のデザインコンセプトでした。

 まず運転台は木をくりぬいて作りました。木を貼り合わせの大きなかたまりに作ってから、それを削って形を整え、その上に運転に必要なハンドルやレバーが埋め込まれているのです。運転士はこのかたまりに三方から囲まれています。日本でもただ一つのユニークな構造です。車内の床・ベンチ・ブラインドも木で作り、窓の下に小さな木のテーブルを作りました。あの800系「つばめ」を担当した特注家具メーカーの仕事です。座席や床材などに木などの自然素材をふんだんに使っているのが特徴の水戸岡先生ならではの電車です。中でも緩やかなカーブを持つ木製の座席を構成する木材は、天然木のムク板を使い、家具職人が一枚一枚削りだしたハンドメイドです。思わず座る前に手で撫でてみたくなるようなぬくもりの感じられる座席となっています。窓がとても大きいので車内に閉塞感が全くなく、まるで路面通りをそのままに移動しているような解放感を生んでいます。外観は正面から見ると、個性的なかわいらしい【顔】を連想させるように工夫されています。岡山の公共空間を考慮して、青・銀を基調としたメタリックな外装を施しました。水戸岡先生は「MOMO」の運転士さんがのユニフォームや、関連グッズまでデザインしておられます。

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 「MOMO」は、鉄道友の会の「ローレル賞」を受賞したほか、国土交通省の第1回「日本鉄道賞」を受賞しました。現在は「MOMO2」も走っており(現在全国に20編成40車両が走っています)、岡山駅前から伸びる「桃太郎通り」のメインストリートが、心地よい美しい町並みになるように「MOMO」が貢献しています。

 あっ、そうそう。岡電の終点「東山」には「おかでんミュージアム」ができています。水戸岡鋭治先生のデザインした電車の常設展示場です。私は昨年できてすぐに訪れました。ファンには堪らない、思い出深い場所です。⇒私の見学記はコチラです

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