The Experiment

 1930年代前半に心理学者カール・ゼナー(Karl Zener)が、デューク大学のジョゼフ・バンクス・ライン(Joseph Banks Rhine)とともに活動していた時にデザインしたものがESPカード(Extra Sensory Perception)です。このカードがデザインされる以前は、ESPの実験は通常のplaying cards(日本語のトランプ)を用いて行われていたといいます。通常のplaying cardsというのは、数字とスート(マーク)が表示されています。数字とマークの両方を言い当てればシンプルに特定のカードを言い当てたことになりますが、数字だけあるいはスートだけを言い当てた試行については、そう記録してゆくことになり、いざ実験結果を分析するときに統計学的な分析が複雑になってしまい、明瞭でなくなってしまうなどの問題がありました。また、特定の数字や特定のスートに何らかのこだわりや好みを持っている人が多いことも問題でした。このような理由で新たにカードをデザインすることが要請され、カール・ゼナーによってゼナー・カードが作り出されることになったのです。ゼナー・カードは5種類の図柄が一組になっています。すなわち、丸、十字、波、四角、星です。これが「ESPカード」と呼ばれるものです。

 さて、2組のESPカードを使います。プラスチックのカードケースから、1組(5枚)を観客に渡し、もう一組を演者が持ちます。それぞれが良ーくシャッフルした後、演者と観客とで1枚のカードを選び出します。選ばれたカードはお互いに交換したあと、体の後ろに回し、このカードだけ表向きにして中に戻します。

第一段階:選択の一致

 お互いが持っているカードをテーブルに出し、裏向きで広げていきます。それぞれが選んだカードが1枚だけ表向きになっていますね。あれ、同じカードです。「波」のカード!完璧な一致です。これは偶然でしょうか?


第二段階:予言の一致

 マジシャンは、このことは偶然の一致ではなく、予め予言されていたことなのだと言います。その証拠に、カードが入っていたプラスチックのケースを裏向けて見ると、先ほど両者が選んだ「波」のマークが大きく描かれているではありませんか!初めからこのカードを両者が選ぶことは運命的に決まっていたのです!?

第三段階:全ては必然

 あまりの不思議さに疑いを持つ観客は、もしかしたら全てが同じカードではないか?と疑念をいだきますね。ここで、演者は全てのカードを表に向けます。すると何と、他のカードは全てブランク(真っ白)のカードなのです!「波」のシンボルしか選びようがなかったのです!使ったものは、ケースもカードも観客に即全て手渡してじっくり検めてもらうことができます。簡単、テクニック不要。即リセット完了。3段階にわたり、盛り上がっていく不思議な予言現象をお楽しみください。

The Experiment これは、MAGICWORLD.co.ukより最近発売になった、Vinny Sagoo「The Experiment」というトリックなんですが、これを手にして私がすぐに思い起こしたのが、大好きな故・ニック・トロスト(Nick Trost)「Kopy Kat」という作品でした。亡くなったアルド・コロンビニ(Aldo Columbini) もこの作品を高く評価していて、販売していましたね。私も求めました。作者もビデオ解説・解説書の中で、原案のニック・トロストに対して謝辞を述べています。私も以前にこの原案作品は、ブログで紹介したことがあります。⇒コチラです  両者をよく見比べていただくと、原案がかなり改良されて、トリックとして格段に進化したことが見て取れます。普通のトランプカードからESPカードを使うことで神秘性が増し、印刷された素敵なカードケースを追加することで新たに予言要素が加わり、最後のフィニッシュではカードが全部真っ白(ブランク)になってしまうことで意外性を演出しています。このようにして、トリックは改案・進化していくのだという見本のような作品です。両者をよーく見比べてみてください。♠♣♥♦

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