竹内 均博士

竹内均 竹内 均(たけうちひとし)先生は、2004年にお亡くなりになられました。私が大きな影響を受けた先生です。先生は若いころから、早寝早起きを習慣化して、毎朝4時に起きるのが通例だったと言います。したがって毎朝6時過ぎ頃には、東京大学の自分の研究室に行くのが習慣化していたので、あの東大の学園紛争のさなかでも、朝に学生たちがバリケードを築くはるか前の時間に研究室に入ってしまっており、東大の教授で唯一、紛争中の研究室にいた、という伝説が残っています。私が毎朝早く学校に来るのも、竹内先生の真似といえるかもしれません。

 東京大学時代に地球物理学で数々の輝かしい業績を残された後、退官なさってからの竹内先生のご活躍がすごいと思います。東京大学名誉教授、科学雑誌『ニュートン』の創刊(編集長)、代々木ゼミナール札幌校の校長、メガネの三城のCM出演、そのかたわらに全国を講演で飛び回り、かつ500冊に近い著書の数々を書いておられます。いったいこのパワーの秘訣は何なんでしょう?

 竹内先生から学んだことはもう山のようにありますが、中でも大きかった二つのことを取り上げます。一つは「15分活用法」です。あれだけ忙しく飛び回っておられる先生が、どうやってあれだけの膨大な著作を残すことができたのか?先生は時間のユニットを15分と考えておられました。どんなに忙しい人でも、1日のうちには何度か15分くらいの空き時間を見つけることはできます。この短い空き時間で、小さな仕事をまとめ、それを積み上げていくというやり方です。この15分に取り組む仕事は、その前の15分の続きでなくてもかまいません。全く違った種類の仕事でもいい。とにかくこうして、その場その場で取り組んだ断片的作業を、少しずつ積み上げていくことが大切なのです。当時の竹内先生はテープレコーダーに吹き込んでおられました。それが積もり積もってあれだけの膨大な著作につながっていったのです。私は若いころから、これを真似てちょっとした時間があると、ちょこっと書き留めたり、パソコンに入力したりをしていました。私が作った教材のほとんどはこうして出来上がったものなんです。

 もう一つは、自己実現」という言葉がマスコミではやり始めていた頃、竹内先生は先生流に「自己実現」を、①自分の好きなことをやり、②それで十分にメシが食えて、③のみならず、それが他人の役に立ち、また他の人から評価される、とまとめられました。私はこれを借用させていただいて、生徒たちに「理想の職業とは?」と語りかけたものです。好きなことをやり、②食べるのに十分なお金が手に入り、③ときどき人から感謝される、そんなやりがいのある職業に就きたいね、と。竹内先生もそうでしたが、私自身も「教職」はそんな理想の職業だったと言えます。今でも生徒たちにこの話はよくしてあげ、先生の著書を読むように薦めています。

 その竹内先生が、松江に講演に見えられると聞き、私が以前島根県立松江南高等学校で3年生担任をしていた理系クラス全員に、ぜひ先生の話を聞かせてやりたいと思い、講演チケットの確保に走りました。当時、あのふちの厚いメガネがトレードマークの先生は、「メガネの三城」のCMキャラクターでテレビに出ておられ、この講演会も三城の後援でした。偶然、私のクラスに、松江・三城支店と親しくしておられるめのう店の息子さんがいました。無理を言って彼に何とかしてくれと頼みこみ、クラス全員の入場券をゲットしてもらいました。その彼も今では従業員700名を抱えるグループ企業の社長さんです。当日は全員で、「くにびきメッセ」会場の前の席を陣取り、先生の講演に聞き入りました。その頃先生は80歳が近かったと思うのですが、生徒たちはみな「信じられない!」「若い!」「あの元気はどこから来るの?」という感想でした。講演後、生徒諸君の感動を竹内先生にお送りしたのもいい思い出です。

 私は、竹内先生の本はほとんど読んでいるのですが、今まで気づかなかったことがあります。最近『頭のいい使い方、下手な使い方』(三笠書房、1995年)を引っ張り出して再読していたところ、先生が私の尊敬する渡部昇一先生のファンでもあったことを初めて知りました。若い頃読んだはずなのですが、その時は私のアンテナに引っかからなかったみたいです。

渡部昇一 私は上智大学の渡部昇一さんのファンである。だから、渡部さんの著書はくまなく読むことにしている。その本の読み方は次のとおりである。まず、読んでいて感心した箇所の行頭に大きなカッコをつけるようにオーバーラインを引く。アンダーラインだと、数行にわたったときに何本も線を引かねばならず面倒だ。こうしてオーバーラインを引きながら本を読み終わったら、今度はその分だけを、テープレコーダーに入れる。「渡部昇一訳『どう生きるか、自分の人生!』三笠書房」という具合に、まず著者名と書名を吹き込み、そのあとでオーバーラインを引いた箇所の内容を、次々に追いながらテープに吹き込んでいく。(p.87)

 私が竹内先生や渡部先生に強く惹かれたのは、偶然ではないみたいですね。

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