「自分らしくあれ」(前刀禎明)

 話は今からちょうど3年前にさかのぼります。2013年1月末のことです。放課後、山陰合同銀行から電話がかかってきました。ちょうどベネッセの担当者が二人ほど職員室にお見えになり、お話をしている最中のことでした。山陰合同銀行で前刀禎明(さきとうよ前刀禎明maeしあき、(株)リアルディア社長)さんを講演にお招きした際に、私への色紙をことずけてくれと預かっている、とのことでした。当時前刀さんは、めざましテレビ」(フジテレビ系)「さきつぶ」というコーナーをお持ちで、毎朝楽しみに見てから学校へ登校していたのです。前年には『僕は、だれの真似もしない』(アスコム、2012年)という著書を出版され、私もブログで取り上げさせていただいたばかりでした。その記事を読んでいてくださって、松江にいらした際に、私に色紙をことずけていただいたんです。憧れの方から私に色紙が、と考えただけで、電話口で奇声を上げIMG_1516て喜んだのを覚えています。当時部屋にいらしたベネッセの営業の人たちもびっくりしたことでしょう。その講演会の企画担当をなさった方のお嬢さんが、松江北高に通っているということで、ことずけてくださったのです。それが写真左の色紙です。「自分らしくあれ」とありますね。その時は喜びのあまり、「八幡は八幡らしくありなさい」という意味のことかな、程度にしか考えなかったんです。

5年先 昨年末に、前刀さんが『5年先のことなど考えるな』(PHPビジネス新書)という新刊書を出されました。私は前刀さんの熱狂的なファンですから、ご著書は全部読んでいます。その本を読んでいて、3年前にいただいた色紙の「自分らしくあれ」という言葉の真意が分かりました。

 僕の中で、「せねばならぬ」や「世間の常識」に囚われない人の究極の姿がいくつかありあります。

 『浮浪雲(はぐれぐも)』というジョージ秋山さんの漫画をご存知でしょうか。この漫画の主人公の生き方は、文字通り大空にぽっかり浮かんで悠然と漂う雲のように自由で、将軍様からも認められた”公式の自由人”という設定です。彼は何にも束縛されず、他人に何を言われようと気にしません。あれこそ、僕が理想とする姿です。

 また、アップルを率いたスティーブは「Think different.(人と違ったことを考えろ)」というコピーを残しました。でも、スティーブ自身が自分のことを変だと思っていたかというとそんなことはなくて、本人は自然に振舞っていたんです。ただそれが大多数の普通の人の目に、変に見えていたというだけ。スティーブが本当にいいたかったのは「人と違うことを気にするな」ということなのだと思います。

 「前刀さんなら、Think different.をどう訳しますか?」と尋ねられたとき、だから僕は「自分らしくあれ」と訳しました。我ながらいい意訳だと思っています。自分らしくある、ということは、人の意見を気にしない、ということでもあります。言葉を選ばずにいえば、少なくとも僕は、人の意見なんてどうでもいい。だから世の中のいろんなものに興味がない。人がいいといっているからよく思える、というのが僕という人間にはありません。  (pp.126-127)

 「自分らしくあれ」―そういう意味だったんですね。前刀さんは講演にお使いになるプレゼンのスライド1枚1枚にも、ものすごいこだわりを持っておられることも書いてありました。0.1秒単位でテロップをコントーロールすることも苦にならないそうです。まさに職人技ですね。どの前刀禎明くらいのスピードで文字を表示していくと臨場感が出るのか徹底的に研究して、音楽をどこで流せば効果的か、ベストの表示方法とスピードを探っておられるとか。講演用のスライドづくりには、講演時間の優に10倍の時間を割いておられるのも分かりますね。これらすべてが「自分らしくある」ための真摯な追求であることがよく分かります。そういえば、3年前にお電話をくださった山陰合同銀行の講演の企画担当の女性が、今までに見たことのない講演だった。あのプレゼン資料のすごさには感動した」とおっしゃっておられたのを思い出します。普通の人は利用できるデータを分析して、そこまでで止まってしまいます。前刀さんは、そこから“So what?”(それでどうした、それが何なんだ)と自問します。そこからが勝負だというのです。「これは自分にしか言えないことか?」「自分らしい視点が入っているか?」と自分に問いかけながらカメラの前に立つとおっしゃいます。見る」「視る」「観る」「俯瞰してみる」を使い分けることが大切だと力説されます。これが前刀流のプレゼンの極意なんでしょう。一度ぜひ私も、前刀さんの講演を聞いてみたいと思っています。

 私が早朝楽しみにしていた「めざましテレビ」のコーナー「さきつぶ」の最終回で、前刀さんはクリエイティブに生きるため、セルフイノベーションを起こすために、3つのシンプルな原則をお話しになりました。1)「もんだ」をやめる。(2)子供になる。(3)自分を信じる「○○はこういうもんだ」という常識や前例にとらわれることなく、理屈も損得勘定もない純粋な子供のように好奇心の赴くままにチャレンジする、そして自分を信じ、自分の考えに自信を持つことの大切さを喚起されたのです。アップルの日本社長時代に「アイポッドミニ」を日本で爆発的ヒットを成し遂げた途端、スパっと辞職され、自分のやりたい夢の追求に邁進された方です。このように、前刀さんの生き方には勉強させられるところがいっぱいあります。詳しくは次のご著書を読んでみてください。きっとハッとさせられると思いますよ。お宝の色紙について、改めて考える機会を与えていただいた前刀さんにお礼申し上げます。❤❤❤

前刀禎明『僕は、だれの真似もしない』(アスコム、2012年)
前刀禎明『人を感動させる仕事 僕がソニー、ディズニー、アッ
プルで学んだこと』(大和書房、2013年)
前刀禎明『心が動く伝え方』(KADOKAWA、2015年)
前刀禎明『5年先のことなど考えるな』(PHPビジネス新書、2015年)
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