大学入試Gear Up英文法

先生方、この本はいいです!オススメです!

 文英堂から最近(2015年3月)出版された、佐藤誠司『大学入試 Gear Up英文法』を取り上げます。主な特長は次の通りです。

 
◇入試に出る項目に絞りこんだ学習
過去約10年分の国公立・私立大学とセンター試験の問題を徹底分析し、出題頻度の高い項目と頻度の低い項目とを仕分けして,出題頻度の高い項目を重点的に学習できるようにしています。
◇読解問題の対策に役立つ知識もカバー
読解問題の英文中での出題頻度も表示。さらに読解問題で役に立つ知識を盛り込んでいます。
◇使える英語を習得する
近年大学入試で求められているコミュニケーション能力に対応できるように、使える英語の知識を整理しています。
◇姉妹品『大学入試Gear Up 英文法問題集』で反復練習
参考書と同じ章立てで、問題を掲載しています。この親本参考書と合わせて使うことで、理解が一層定着します。

 IMG_9668著者の佐藤先生は、「経験上、著者としての思い入れの強い本はあまり売れません。それを承知で言いますが、この本には強い思い入れがあります。基本的には「入試問題データベースを使って入試によく出る知識を重点的に取り上げた」という点が売りですが、「入試にはよく出るけれど実際には使わない」といった実用的な知識を多く盛り込んでいます。受験生だけでなく、入試の出題者にも読んでほしいと思っています。」と言っておられます。類書はたくさんあるジャンルですが、中でもいいと私が差別化を感じるのは、著者ならではのこの【入試情報】という点です。こういう現代英語の実態から切り込んだ情報が載った受験参考書は見たことがありません。例を挙げましょう。

so that S may Vという形は現代英語では使われず、入試にもほとんど出ない。in order that S+V (~する目的で)やlest S should V(~しないように)という言い方もあるが、これらは口語的な表現ではなく入試の出題例も少ない。(p.288)

providing, suppose, supposingもifに近い意味を表すが、入試ではprovidedの例が最も多い。(p.282)

but for~は文語調なので日常的には使わない。 ifを省略して <V+S>の形にした形も同様。センター試験では過去にwithoutが2回、 if it were not forが1回出題されている。(p.214)

「同一物[人]の状態同士を比べるときは最上級にtheをつけない。また比較級は常にmore~ than…の形を使う」という知識は、近年の入試では出題例がほとんどない。実用的な見地から考えても、たとえばI’m busiest on Monday.(私は月曜日が一番忙しい)という文の最上級にはtheをつけないのが文法的には正しい(busiestの後ろに名詞を補って考えることができないから)が、実際にはI’m the busiest on Monday.という人もいる。(p.191)

  このコラムを拾い読みするだけでも、現代英語の実態と、受験英語とのかい離を実感することができます。みなさんにお薦めしておきます。最後に、私がもう一つご紹介したいのは、佐藤先生の公表されている資料「大学入試(英文法)悪問データベース」です。この資料は、近年の大学入試の文法問題の中から「悪問」を見つけ、解説を加えたものです。目的は、「日本独自の入試英語の質の低さや現実の英語との落差を、できるだけ多くの人々に知ってもらうこと」です。大学入試の出題者にもこの資料を活用していただきたい、ともおっしゃっておられます。最近も、take after~, speak ill of~といった成句の興味深い解説が加わっており、現場の英語教師はぜひ読んでおくべき資料です。 ⇒コチラです  

 この資料を読むと、故・河上道生先生(広島女子大学学長)の名著『英語参考書の誤りを正す』(大修館)、『英語参考書の誤りとその原因をつく』(改訂版)を思い出しますね。河上先生は、生前私に、「あの本を出したのは、学者としてはマイナスだった」と語られましたが、「あの本のおかげで日本の参考書界が変わったんですから、大きな金字塔です」という趣旨のことを申し上げたら、嬉しそうな顔をされたのをしみじみ思い出します。本当にかわいがっていただきました。ありがたいことでした。河上先生との縁を取り持っていただいたのは、当時の東京書籍の営業課長・清川一生さんでした。松江で勉強会を開催した際に、東書の作文教科書の指導書(他社とはくらべものにならないくらい内容の密度の濃い指導書でした)を書いておられた河上先生に、講師としておいでいただいたのがきっかけです。以来、親しくしていただいて、種々の資料の提供をいただき勉強をさせていただきました。私の追悼記事はコチラです。

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