特急かもめ

特急かもめ衝突 5月22日午後12時20分ごろ、佐賀県白石町のJR長崎線「肥前竜王駅」で、下りの「特急かもめ19号」(乗客105人)が本線から待避線に進入、待避線に停車していた上りの「特急かもめ20号」(126人)と向かい合わせになり、緊急停止するという事故がありました。特急同士の距離は93メートルで、一つ間違えればあわや正面衝突する可能性のある危険回避でした。先日の長崎旅行で、私は二回この「特急かもめ」に乗っているので、非常にショックな出来事でした。

 長崎に行くときに必ず乗る列車が「特急かもめ」です。上の映像にもある通り、現在3種類の「特急かもめ」が走っています。私はこの3種類全部に乗っています(私の趣味の一つに「全国の特急列車を制覇する!」というのがあるんです。まだ先は長いですが…)。

◎1つ目の列車は885系のかもめ型列車…私の一番好きな列車です!
◎2つ目の列車は885系のソニック型列車
◎3つ目の列車は787系列車です…九州各地の特急列車に使われていますね

IMG_9053 博多・長崎間を、約2時間かけて走っています。これが、少なくとも中四国・関東圏を走る特急と比べると格段に豪華でヨーロッパの鉄道みたいで抜群にお薦めなんです。1と2は「白いかもめ」号と呼ばれています。3は「黒いかもめ」です。私が初めて長崎に行くときに「特急かもめ」に乗ったときには、まず、まばゆいくらいの白のボディに引きつけられました。尊敬するデザイナー水戸岡鋭治(みとおかえいじ)さんの『電車をデザインする仕事』(日本能率協会マネジメントセンタIMG_9054ー、2013年)によれば、セラミック形ハイブリッド塗料の「N9.5レベル」という、塗料の中でも最高レベルのこれ以上ないほどの「純白」を採用しているそうです。一般の新幹線がN8.5~9.0といいますから、その純白度は際立っていますね。しかし綺麗な反面、一方ではそのメンテナンスは大変なんです。通常の車体であれば、二日に一度洗浄するところを、「かもめ」は毎日洗浄しなければいけません。当然、現場からは猛反対されたそうです。「車両の白さを維持することが、JR九州のスタッフの誇りとなる。そしてそんな会社にお客様は夢や企業努力を感じてくれる。さらにメンテナンスのレベルアップにもつながる。私はそう伝え、現場に納得してもらってきました。」『THE 21』2014年6月号インタビュー(PHP)) 白は国鉄時代からタブー色とされてきました。蒸気機関車が走っていた時代に、石炭の「すす」で車体が黒く汚れてしまうために、車両デザインで明るい色合いが用いられることはなかったのです。その影響で、JRでも長い間「白」を使うことを極端に嫌っていました。水戸岡さんはそのタブーをあえて逆手にとって、挑戦をしました。「そして実際、お客様からは『白い車体がきれいだね』という言葉を多くいただいたそうです。そう言われたらもう、きれいにし続けるしかないですよね。このように、高いハ-ドルがあるからこそ、人は一層努力できるのです。」と水戸岡さん。なるほど、逆転の発想です。

かもめギャラリー 乗降口のドアの横に配された、ピンクやブルーのライトに迎えられ、心地よく第一歩を踏み入れました。またデッキには自然で心地の良い木材を壁や床に使用して「おもてなし」の応接スタイルを取り入れています。これを演出しているのが墨書」を楽しめるギャラリースペースです。初めて乗ってこれを見た時の驚きと感動は忘れることができません。島原の子IMG_9067守歌や名産、祭り、歴史的な言葉など、豪快でいてかつ趣のある作品を車内に見ることができます。思わず写真に撮ったものです。後にこれが、四宮佑次氏の書であることを知ります。「かもめ」型列車ではこのような「墨書」でしたが、「ソニック」型列車では右写真のような「墨画」になりました。画の内容は、これまた編成によって異なっています。乗るたびに要チェックですね。ちなみにこの「墨画」の作者は、この特急をデザインした水戸岡鋭治さんです。「琳派」の流れによる独特の絵を、水戸岡流にリメイク・リデザインしたものだそうです。

 また、全席に採用された、牛の本革張りの座席シートにもたまげました。グリーン車でもない普通車に上質な本革シートと天然木の肘掛けIMG_9075やテーブルが、まるで社長の椅子にでも座っているような気分に浸らせてくれます。水戸岡さんはドイツの高級椅子メーカーから着想を得た、と聞きました。そのゆったり感が通勤客だけでなく、私たち旅人を満足させてくれます。「どうして、そんなに贅沢をするのか。」と言う人も多いようですが、実はこれまでの車両の製造費とそんなに差はないそうです。牛の革は一頭単位で取引されています。買った革を何パーセント使うかで値段は変わってきます。傷のないところだけ使おうとすると、一頭の半分は捨てることになります。「特急かもめ」の座席では、傷もOK。少しくらい傷がついていてもいいではないか、捨てずになるべく端まで使ったそうです。多少の不揃いがあるのはそんなわけです。このDSCN3915ことは、水戸岡さんが子ども向けに書かれた『ぼくは「つばめ」のデザイナー』(講談社青い鳥文庫、2014年)で知りました。こんな高級な座席を「心ない乗客に傷つけられたらどうしよう」といIMG_9062う心配をする人もいました。デザインが一定以上のレベルに達すると、乗っている人にも一種の心地よい緊張感IMG_9071が生まれるのです。逆に、車両がしっかりしていないと、乗客のモラルも低下する、と水戸岡さんは考えます。全くの杞憂でした。

 上の写真からも分かると思いますが、「荷物棚」は飛行機のような美しさのハットラック収納式で、開放感あふれる車内の、すっきりと明るく広々とした印象に貢献しています。ハットラックに入りきれない大きな荷物は、1号車を除き各号車に設置されている「ラゲージラック」に置くように配慮されています。いたれりつくせりですね。

 特急「かもめ」は、そのデザイン、そして快適さもミレニアムクラスです。振り子システムで、スピード・アップも実現しています。シックなウッディ・フロアーに、グリーン席はもちろん普通席も本革張りのハイバック・リクライニングシートは、列車とは思えない落ち着いた空間を提供してくれます。博多から長崎までの旅を実に快適にしてくれる列車です。どうです、乗ってみたくなったでしょ?

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