「顔が広い」?

 大学時代に英文学を教えて頂いた恩師サンフォード・マロヴィッツ先生から、「目くじらをたてる」という表現は、クジラ(鯨)とどんな関係があるのか?と質問を受け、答えられずにはたと困ってしまった記憶があります。辞典の編集をお手伝いする身としては、日本語・英語を問わず、このような問題はとても興味深いものがあります。今日はそんな問題をみなさんにいくつかご紹介しますね。

「八幡先生は、顔が広いですね」とよく言っていただきます。私の顔の面積はそんなに広くありません。普通の顔の大きさです(笑)。「知り合いが多い」というこの表現は、顔の面積とどのような関係があるのでしょうか?あるいはないのでしょうか?

「風邪を引いた」とよく言いますね。病気にかかることを「引く」と表現するのは、珍しいことです。「盲腸を引いた」「肺炎を引いた」「インフルエンザを引いた」はいずれも奇異な言い方で使われません。これらは普通は「~にかかった」を使います。ではなぜ風邪だけが、「風邪を引く」と言うのでしょうね?

③私はお豆腐が大好きです。これからの季節、冷や奴はたまりませんね。「この季節は、豆腐の足が早い」とよく言いますね。「腐りやすい」という意味です。足が速いことと、腐ることはどんな関係があるのでしょうか?

④退職して授業がなくなり、生徒に教えることができずに、さみしい/さびしい思いをしています。「さみしい」も「さびしい」もどちらもOKですが、いったい両者にはどんな違いがあるのでしょうか?国語辞典を引いても、「さびしい」を引くと「さみしい」と出ているだけです。はたして両語はイコールでしょうか?私の語感では微妙に異なっているのですが…。

 若い頃に、「最近」(さいきん)「近頃」(ちかごろ)という表現に興味を持って調べていたことがありました。明らかに両者は異なる意味なのに、国語辞典には「最近」を引くと「近頃」と、IMG_8186「近頃」を引くと「最近」と出ているだけで、何の役にもたたなかったのを覚えています。自分でいろいろと用例を作ってみては、意味領域の違いを考えてみました。そしてこれと同様の現象が、英語の副詞recentlylatelyにも見られることに気がつきました(この論文は「ダウンロードサイト」に登録されています)。言葉の世界は面白いものです。上記の①~④の問題に興味のある方は、飯間浩明先生の最新刊『辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術』(PHP新書)を読まれると、出てきますよ。これとっても面白い本でした。

 あまりにも天気が良かったので、「鳥取花回廊」にでも出かけようかと思い一階に降りようとしたところ、二階の階段を踏み外し踊り場まで滑り落ちてしまい、擦り傷はできるやら、尾てい骨を思い切り打撲するやらで、痛い思いをしています。トホホ…。気をつけないといけません。年なんですから(笑)。どこにも出かけずに家でいい子をしていようと思います。

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